anne135のブログ

もうアラサーです。モテないアラサーの独り言。多分フィクションです。多分…。

素敵な朝のお話

今朝、いきなり膝の上が「ボフッ」てなった。

 
 多分これを聞いても意味分からないと思うのだけれど、私自身もその時意味が分からなかったのだから仕方ない。
 
朝、いつものように電車に乗る。時間的に割と空いており、空席が多く有った。私は座席に座って、白目を剥いて口を開けながら眠りにつくというルーティーンに入ったわけである。ウトウトし始めてから、数分後。
 
「ボフッ」という聞いたことのない音とともに何かが私の膝を襲った。
 
目を開いて最初に見たのは、誰かの背中。確認してみると、80歳は確実に超えているだろうおばあさん。膝の上に、おばあさん。
私は竹の中からかぐや姫が出てきたり、桃の中から桃太郎が生まれたりするおとぎ話には慣れ親しんできた。でも、まさか私の膝からおばあさんが生まれてきたとは考えにくい。もしそうだとしたら、それはもうおとぎ話ではなくてホラーである。
おばあさんは私のことがたまたま角度的に見えていなかったのかもしれないし、私を見た上で椅子だと判断したのかもしれない。もし後者なら、私は声をあげて泣きたい気分である。しかしなぜ「おばあさんon私の膝」という構図が出来上がったのかはともかく、まずはおばあさんに立ち上がって膝からどいてもらわなければならない。私はおばあさんの肩を叩いて、「すいません、立ってください」と告げる。
おばあさんはゆっくりと私の方を振り向き、それから杖に力を込めて立ち上がった。(勢いで「杖」と表現してしまったが、正確には私の持っていた雨傘である)
そしておばあさんは無言で隣の席に移動した。
 
私の隣にはサラリーマンが座っている。
つまり、おばあさんは私の膝→サラリーマンの膝に移動しただけなのである。サラリーマンはすぐに小さな悲鳴のようなものを上げて、おばあさんを背中を押すことによって立ち上がらせた。
何故か怒ったおばあさんは、「杖」をつきながら次の駅で降りて行ってしまった。
 
嗚呼、さようなら私の雨傘、、、。
 
椅子と認識された挙句に、傘まで奪われた私。空から卵ボーロが数粒降ってくる、とかその位のレベルでいいのでハピネスをください!