anne135のブログ

もうアラサーです。モテないアラサーの独り言。多分フィクションです。多分…。

優しさとは何なのか

「ここ、やばい人いるから気をつけてね!」

大学生の時にちょっとだけしてた事務のアルバイトで、一番最初に先輩から言われたのがこれでした。

 

それ言われた時点で、「あ、終わったな」と思って新しいバイトへのわくわくが消えたんですけども。めっちゃ幸先悪い。

 

聞いてみると、なにやら、すごい新人いじめで有名なおばちゃん(パート社員)がいる、と。

なんやかんや理由をつけて、新人バイトをいびりまくっているらしい。理由が「髪の色が明るい」とか「声が小さい」とかならまだいい方で、「私(おばちゃん)のことを嫌っている気がする」とか「家庭環境が悪そうだ」とかもはや勝手な想像で新人をいじめまくっていた。

理由をつけつつも、自分より若い女が気に入らないだけ、というのが本音らしいけど。

そんな伝説のおばちゃんがいるところに配属になるなんて、さすが私。運を持ってない女。

 

おばちゃんの若い女いびり、と言うと可愛い女の子に対してのいびりなのかと思うけれど、先輩バイト曰く、そうでもないらしい。一般的にブスと言われるタイプの若い女性のことも、ちゃんといじめるらしい。ちゃんと、って変な表現だけども。おばちゃん、変なところが平等。

 

ドキドキしながら席に着くと、もう見るからに怖いおばちゃんが近づいてきた。桃太郎に出てくる赤鬼の性別を女にしてみました、みたいな風貌の50代女性。

私の頭の中ではダースベーダー登場の音楽が鳴る。全然誰とも戦ってないのにラスボス来ちゃったよ。

 

「あら〜、新人さんね。よろしくね。」

ラスボスの第一声は優しかった。

「お前を蝋人形にしてやろうか」くらいの言葉が来るかと思ってたので、ちょっと拍子抜け。

なんだ、赤鬼、優しいじゃん?

なんて思ってから1分も経たないうちに、近くにいる女子が怒られてた。「あなた仕事が遅いよ?なんで遅いかわかる?分かんないよね。わかる頭が有ればそもそも速く仕事するもんね。」

いびり方が陰湿。カビが生えるくらいジメジメ。

その後も退社時間になるまで赤鬼は色んな女子をいびりまくりでした。でも結局私はいびられず。何故か笑顔まで向けられました。

 

あの赤鬼を手懐けてるぞ、って周りの先輩たちはザワザワ。帰るときに勇者のように称えられた。

 

後日先輩に「いやぁ〜、意外とおばちゃん余裕でしたw」と意気揚々伝えたら、「あのおばちゃん、Anneさんのこと若い割に顔もブサイクで可哀想って言ってたけど、気にないほうがいいよ!」って返ってきました。おーまいがー。

先輩の優しさという名のパンチが私のみぞおちにクリーンヒットしました。

 

世の中知らない方が幸せなこと、多いよね⭐︎