彼を泣かせたのは誰だ
若い子って、本当に本当に可愛い。
性別とか外見とかはあんまり関係なくて、若いっていうことがとにかく大事。
コンビニで高校生くらいの男の子がバイトしてたんですよ。
頑張ってレジ打ってて、もうそれだけで、偉いなぁ、って。頑張ってるなぁ、って。
若い男子の頑張りを微笑ましく思いながら、私は彼のレジに向かった。
私が買ったのは、肉まんと雪見だいふく。
大好きな二つ。
通常温かいものと冷たいものは袋を分けてくれるコンビニが多い。
しかし、彼は一つの小さなレジ袋に勢いよくその二つを突っ込んだ。
あのね、正直私も「あちゃ〜」とは思った。でもさ、高校生が頑張ってるわけ。冷たい肉まんが出来たって、温かめの柔らか雪見だいふくが出てきたって、多少我慢するじゃん。
だから何も言わなかった。
だけど次の瞬間、思いがけないことが起こったの。
「うわぁ〜〜〜!!!
まただ!!!この間も怒られたばっかりなのに〜!!!」
突然大きな声でそう言ったかと思うと、レジの彼はポロポロと涙を流した。
泣くレジ店員と、ぽかんとする私。
一気に集まる多くの視線。
いや、ちがうよ?
「こいつ店員泣かせたぞ」みたいな他の客からの視線感じるし、他の店員もクレーマーを見る目で私を見てきてたけど、ちがうよ??
もう私、ひたすらにおろおろしちゃった。私が困ってる間も彼は涙を流してるし、泣きながらも「温かいのと冷たいのは別の袋じゃないとだめなのに……」とか小声でぶつぶつ言ってる。
もうどうしていいか分かんなかったから、「別にいいですよ!!!私別に気にしないし!!!てゆうか、いや、むしろこっちの方がいいし!うん!!」
って割と意味わかんないこと言っちゃった。
こっちの方がいいわけないのに。
彼はそれでも泣き止まなかったんだけど、さすがに他の客からの視線に耐えられなくなったので、奪うようにレジ袋を取って店を出た。
コンビニに入った瞬間はほのぼのとした気持ちになったのに、出るときは冷や汗だらけ。
ドロドロの雪見だいふくを食べながら、あの高校生バイトを想いました。
頑張る彼に幸あれ!