溶けてゆくクリームソーダ
本日お昼頃、大学の時にサークル関係知り合ったK君からLINEが来た。
「久しぶり〜!今日空いてたりする?
久々に会わない?(笑)」
K君から連絡が来るなんてほんっとうに久しぶりで、なんなら大学卒業ぶりくらいかも。
普通に警戒して、「悪魔祓いの壺とか売られるのかな?」とか「幸運のミネラルウォーターを勧められたりして」とか思わなくもなかったんだけど、LINEで会話してる限りではそんな様子も無かったので、会うことにした。
大学の近所の喫茶店に15時。
時間通りに到着すると、もうK君は到着してアイスコーヒーを飲んでいた。私もすぐにメロンクリームソーダを注文する。
K君は大学の時から一ミリも変わっていなくて、ちょっとだけダサめの帽子も、クリクリとした大きな瞳も、そのまんまだった。
大学時代の思い出話を語り合って数分、K君が突然切り出した。
「あのさ、実は話がある」
そう言う彼はどこか緊張していて、でも目はいつも以上に活気に満ちていた。
彼の目を見た私の直感が、私にこう告げていた。
告白される。
久しぶりに会うから彼との間にはまだ距離があるけれど、彼のことは決して嫌いじゃない。
何より、人生で初めて告白されて断るという選択肢が私には無かった。
K君「桃子ちゃんと付き合いたいと思ってる。サポートしてほしい。」
えーと、私の名前、桃子だっけ?
多分違うよな、Anneだよな。うん、桃子ではない。
桃子は私の親友の名前だ。彼女も私と同じサークルにいたので、当然K君と桃子も知り合いである。事態を把握するのに、そう時間はかからなかった。
大丈夫、ブスはこういうの、慣れてる。
ただ、それでもまだ一つだけ問題があった。
桃子には付き合っている彼氏がいるのだ。しかも超イケメン。その事実を私の口からK君に告げていいんだろうか。
悶々と一人で悩む私を尻目に、K君は桃子の良さを語り続けた。
とにかく顔がタイプとか、服のセンスがいい、とか割と薄っぺらい理由だったけど、それでもK君がいかに桃子のことを好いているかが伝わってきた。(私に伝えてどうする、とも思ったが。)
この状況に耐えられなくなった私は、K君に真実を伝えた。伝えるなら、早く伝えたほうがいい。それが優しさ、だろ?
私「ごめん、言いにくいけど桃子、彼氏いる…」
K「知ってる。だから彼氏と別れさせて、俺と付き合うようにしてほしい。」
はい〜?????知ってたの〜???
私の悶々タイム返して〜???
K君、私が思っていたよりも一枚も二枚も上手?だったし、図太かった。
しかも今の彼氏と別れさせるところまでじゃなく、K君と付き合わせるところまでサポートさせるあたり、非常に要求レベルが高い。赤ちゃんかよ。
流石に愛想が尽きて、用事があるフリをしてすぐに喫茶店を出ました。
悶々している間に溶けてしまったメロンソーダだけを残して。