ゆらゆら揺れて
今週のお題「大人になったなと感じるとき」
お題について、今回は真面目に書いてみる。
よく晴れた日、近所の小さな公園を通りかかった。
平日の昼間で子供は学校に行っているせいか、公園には誰もいない。
そんな中、風でゆらゆらと揺れるブランコ。
そのブランコにかすかな寂しさ、そして懐かしさを覚えた私は公園に入り、ブランコに近づいた。
たまには子供の頃に戻って、ブランコで遊ぶのもいいかもしれない。
そんな気持ちでブランコに手をかけようとした、その時。
私の手はブランコを掴まずに止まった。
ブランコが錆びていたのだ。
正確に言うと、ブランコの手で掴む部分のチェーンが錆びて、赤茶色くなっていた。
それを見た私は、反射的にブランコに触れることを諦めた。
「これが大人になるということか…」
その時私はそう悟ったのだ。
子供の頃の私なら、手が汚れることなど厭わずに、迷わずチェーンを掴み、ブランコを楽しんでいたはずだ。
でも今はどうだろう。
錆が手につくことを嫌い、結局何もせずに公園を離れてしまった。
手が汚れるのは嫌だな、服や鞄に錆がついたら落とすのは大変だな、頭の中はそんなことでいっぱいだったのだ。
物事の本質に触れることなく、その前の小さな障害によって物事を諦める、私はいつのまにかそんな大人になっていた。
私が触れなくても風で揺れ続けるブランコを見ながら、私は自分自身に寂しさを感じていた。