恋愛の神様はなぜ私に振り向かなかったのか
「今日のお昼に○○駅に集合!」
友人からLINEに連絡があった。
理由も用事も知らされることなく突然呼び出された私だが、断る理由もないので、指示通りに待ち合わせ場所へ向かう。
そこには割と仲の良い友人たち3名がいた。というか私を待っていた。
何の説明もないまま連れていかれた場所、それは神社だった。
なんでも、恋愛成就に定評のある神社らしい。私にだけ彼氏がいないのを気にして、友人たちが私を連れて来ることにと決めたという。
涙ちょちょぎれるほどの優しさ。「お節介」とか「余計なお世話」とかいう言葉で表せないこともないが。
お参りを済ませた後、そこで私たちは「恋愛みくじ」というおみくじを引くことにした。
その名の通り、恋愛に関することが色々な角度から書いてある。
おみくじの結果は、私以外、中吉か吉。
私は、末吉。
なんかギリギリで「吉」の枠に滑りこんだ感がある。ギリギリセーフ。オッケー、オッケー。
ただ、私の引いたおみくじの内容をざっくり言うと、
「焦るな
待て
早まるな」
って感じかな。
もうね、めっちゃ止めてくる。
今現在好きな人、いや、気になる人すらいないのに、全力でおみくじが私を止めにかかってる。
20年以上も焦らず、待ち続け、早まらなかったおかげで絶賛シングル彼氏なし状態なのに。それでもって友人たちに心配されて急に神社まで連れてこられてるのに。このままこれを続けたら、いつのまにか50代とかになってそう。それはそれで良いか。
私が心の中でおみくじに「まだ私を待たせるか…?」などと問いかける中、友人たちは舛添さんの辞任の話題で盛り上がっていた。私の恋愛事情は政治事情にあっさりとコールド負けしたらしい。
納得がいかなかったが、冷静に双方の重要性を比較すれば、しごく順当な結果ではある。
家に帰る電車の中で、私はハンドタオルを落としてしまった。
若い男性がそれを拾った。
まるで漫画みたいな恋の始まり。
運命の人だ、
私の第六感が私にそう告げていた。
しかしその人が顔をあげると、私はそれが短髪の女性であることを知った。
せっかくタオルを拾ってくれた優しい方の性別を勘違いする痛恨のミス。
私に残ったのは、ひたすら申し訳ないという想いだけだった。