anne135のブログ

モテない女子大生の日常。

もしも絵が上手く描けたなら

みなさんは絵を描くことが得意だろうか?
私は、苦手だ。
逆に自信を持って言える位、本当に苦手だ。

私には数々の苦手分野があるが、美術に関しては他を圧倒する酷さなのだ。最近でこそあまり人前で描くことがないが、もちろん小学生や中学生の頃はそれらを避けては通れなかった。

ある日、自画像を描く課題が出たことがある。生徒たちは各自鏡を持参して、鉛筆で自分を描く。自画像というのは意外にも難しく、私は苦戦した。周りの同級生たちが時間内に絵を完成させる中、終了時間5分前にまだ私のスケッチブックは真っ白だった。
私の頭の中も真っ白だった。
さすがにこのまま提出するのはまずいと思い、スケッチブックの端に小さくハローキティーの絵を描いて提出した。可愛いキティーちゃんの絵が、何かを解決してくれるんじゃないかと考えた。苦し紛れに思いついた策だ。

結果、ものすごく怒られた。
まあ怒られるのも無理はない、と何故だか冷静に思う。
美術の先生から呼び出しを受けたのはその日の放課後のこと。
職員室を訪れた私に、美術の先生は言った。

「Anneさん、なんでカバの絵なんて描いたの?!自画像を描きなさい!!自画像を!」

普通に解せなかった。私が描いたのはカバではないはずだ。むしろカバを描くのって難しくない?

うつむく私に、先生は続ける。

「あなたはカバじゃないでしょ?ちゃんと自分を描かないとダメ。Anneさんの他にカバなんて描く人いませんでしたよ?」

私は弱々しい声で反論した。

「カバじゃ…ないです。キティーちゃん…」

それを聞いた先生は、
「ミラクル!!!!」
と叫んだ。
そして私の目をじっと見てから、もう一度大声で「ミラクル!!!!」と言った。

勝手にカバと勘違いした挙句に、人の絵を見てミラクルと叫ぶなんて、割と失礼な話である。
そして先生は涙を流した。未だにこれが何の涙だったのかは分からない。感動なのか、絶望なのか。

私は理由の分からない罪悪感でいっぱいになる。ひとまず先生に謝罪し、その場で自画像を描き直した。2時間以上はかけて、自分の顔を描いたのだ。今度こそ、ばっちり。決して上手いとは言えなかったが、私にしてはまあ上出来である。

出来上がった私の作品を見て、先生は怒った。

「さっき怒ったばかりなのに、またカバを描くなんて!」と絶叫していた。

私は言葉を失う。今度こそしっかりと自画像を描いたはずなのに、またカバ扱いされてしまった。全力で否定したが、カバ感が抜けきれていないという謎の理由を与えられる。結局その翌日も、そのまた翌日も放課後に自画像の描き直しをさせられた。

その日の先生の絶叫を聞いたクラスメイトにより、私に「カバ子」というあだ名をつけられたのは言うまでもないだろう。
芸術的センスのなさがこんなにも人を怒らせ、泣かせ、叫ばせることがあると学んだ経験であった。絵の下手さは、下手な映画よりも人の心を揺さぶる。