anne135のブログ

もうアラサーです。モテないアラサーの独り言。多分フィクションです。多分…。

(負の)連鎖は続くよ、どこまでも!

私は視力が悪い。両目合わせても0.3位しかない。


この前眼科に行った時には、先生に「0.3って犬の視力くらいですよ!あはは!」と言われた。何が「あはは!」なのかは謎だが、まあ視力に関して言えば、私=犬らしい。自分の視力がどうとかよりも、「意外と犬、見えてなくね?」って思った。あの人たち(犬)、「全然見えてますよー」みたいな感じでいつも散歩してるじゃん。騙されてたわ。

さて、問題なのは、私が目が悪いのにメガネが嫌いなことである。ついでに言えばコンタクトも苦手である。だから普段は裸眼で過ごしているのだ。ほぼほぼ見えてないけれど、メガネやコンタクトの苦痛さに比べたら多少の不便は仕方ない。
ただし近くにイケメンらしき人が来た時だけは別である。目にも留まらぬ速さでメガネをかけて確認するのだ。確認した挙句、たまに「あ、勘違いだった」ってなる時もある。背が高いおじいさんとか。おじいさんならまだいいが、この間なんて遠くにすらっとした人がいると思って確認したら、竹刀だったことさえある。ただ、イケてる竹刀だったから間違えても無理はない。きっと。
最近は友人がその癖に気づき、私がメガネを取り出すと周囲を見渡すようになった。こういうの、パブロフの犬って言うのだろう。

昨日も例に漏れず、私は裸眼で電車に乗ろうとした。しかし電車に乗る前の階段でこけた。こけるのはいつものことなので音を発さずに、スッと転んだ。本当に静かに、これが普通ですよー?くらいの感じで。
でも実際にはかなり痛く、膝に血がにじんでいた。私は絆創膏なんていう女子力の高いアイテムを持ち合わせていないため、お弁当を包んでいたバンダナを膝に巻いた。近くでそれを見ていた中学生に、「キャンプかよ!」ってツッコまれたのは内緒。赤いバンダナだから、血がにじんでも目立たなくて良かった。でもバンダナ自体はえげつなく目立っている。

割と恥ずかしかったから、この恥ずかしさを誰かに伝えて緩和したいという欲求に駆られていた私は、学校に走って行く。到着してクラスに入り、すぐに「見てよ!!!これ!すっ転んだけど絆創膏ないからバンダナで代用しちゃったわー!」と笑い話のようにして友人に伝えた。
そして膝を見る。

バンダナはそこになかった。

友人に「見てよ」とか言っておきながら、バンダナ無かった。バンダナにまで見放されてしまっていた。

「あれー?走ってくる途中で落としたかも」と恥ずかしくなりながら私は続ける。
そこで顔を上げてみると、目の前にいたのは友人ではなかった。年齢こそ近いものの、背格好も髪の長さも全く違う。人違い。相手は戸惑っていた。ごめんなさい。

顔から火を噴きながら、逃げるようにその場を後にする。教室を出る時にまたこけた。しかも誰も笑ってさえくれず、純粋に引いている。まさに踏んだり蹴ったりだ。

無事に正しい教室に着いたが、残念なことに友人は休みであった。鞄を開けてみる。弁当箱が開き、鞄全体から肉じゃがの香りがした。教科書にまで、よく汁が染みこんでいた。

おっかさん、私こんな感じで生きてます。

膝と心の痛みに耐えながら、その日1日を無事に過ごした。そして、明日からメガネをかけよう、そう心に誓うのである。

ピエロの小さな喜び

世の中には二つのタイプの人間がいる。

怒られない人間と、怒られる人間だ。

私はといえば当然、後者に属する。まあびっくりするくらい怒られることが多い。野比のび太の10倍くらいは怒られている。

先日、大学の方で就活面接の練習があった。5人の生徒と1人の指導教員という小さなグループでの練習だ。
二週間前くらいに学生課から面接練習のお知らせなるメールが届いていたらしい。だが私がそれ二回気づいたのは当日のこと。しかも予定開始時間の一時間だ。慌てて学校に向かい、面接練習開始から数分遅れで到着した。急ぎすぎて靴を間違えたが、もう仕方ない。リクルートスーツにピンクのサンダルという自らの出で立ちに一抹の不安を抱えながら部屋に入った。

ドアを開けた瞬間、教官大激怒。激怒を通り越して、もはや噴火。大噴火である。火の粉が舞っているのが見えた。
「遅刻してきた挙句にサンダルとは、どういうつもりだ!」と怒鳴られた。反論の余地は、無い。私は反射的に、「申し訳ございません!!!!もう二度としませぬ!!!」と叫んでいた。最後若干噛んだせいで武士っぽくなっているが、そこはご愛嬌として大目に見て頂きたい。

教官には「声がでかい!!!」とまたしても怒られた。出会って数秒でもう二回怒られている。ここは武士らしく切腹をするべきだったのかもしれないが、私にそんな度胸はない。というかそもそも私は武士ではない。

他の生徒たちはやけに面接慣れしており、教官も「みんな良くできている」と言っていた。多少変な歩き方や言葉遣いを直される子はいたが、大きな問題は見受けられない。さっき私に怒鳴っていた教官と同一人物だとは思えないくらい、優しく温厚なジェントルマンだった。

私の練習の番になり、一度扉を出る。扉を開けて「失礼します!」と言っただけで、やっぱり怒られた。「声がでかい!」だそうである。面接練習で覇気がないと怒られる人は見たことがあるが、声が大きすぎて怒られるのはレアケースではないだろうか。入室して質問の受け答えをする。私は将来のビジョンや、学生生活について熱く語った。熱意を注ぎすぎたせいか、無意識のうちにジェスチャーが増えていたらしい。教官は、「手を動かすな!お前はパントマイムをしに来たのか?!」と怒りに声を震わせた。それに対して「いえ、面接練習をしにきました!」とやたら快活に答えたせいで、さらに怒られた。

質疑応答が終わり、部屋を出ようとする。歩き方が汚いという理由で怒られる。やり直しもさせられた。何回も。「戻れ!」とか「次やれ!」とか色々言われすぎて、私は右往左往した。正確に言えば、よく分からなくなってくるくる回った。もちろん教官は激怒していた。本当によく怒る人である。
でも「回るな!くるくる回って点数を稼ぎたいならフィギアスケートでもやってこい!」と言われた時には、「なるほど」と思った。上手い例えだなと感心する。教官に30点加点したくなった。なんのポイントか分かんないけど。

結局私だけが怒られて、面接練習は終了。周りの生徒から、「Anneさんが怒られまくったおかげで、なんか助かった。Anneさんと比較されて私たちめっちゃ褒められたし。」とのお言葉を頂く。私は確かによく怒られる人だが、予期せぬところで人の役に立つことがあるみたいだ。美人の横にブスがいたら、その美人が実物以上に綺麗に見えてしまうのと同じ理屈である。

結局、最後まで教官に怒られ続けたが、なかなか楽しい面接練習だった、ということにしておこう。人の役に立つって素晴らしい。

悪夢のプレゼンテーション

「プレゼンテーション」というものを初めて知ったのは、中学に入学してすぐの頃だった。

 
国語の授業で、私たちは「好きな本を紹介する」という、実にシンプルな課題を与えられたのだ。
まず、宿題として、配られた大き目の画用紙に絵や文を書いてくる。それを基にして翌日に発表という流れでたる。私はかなり興奮していた。
新しく始まったばかりの中学校生活で人気者になるチャンスだ、と確信する。バラ色の学生生活の始まりを予感した。
プレゼンを作るのを友人たちが親や兄弟に手伝ってもらっていることは、もちろん知っている。しかし私はいやに正義感の強い子ども(子ブス)だったため、親には手伝ってもらうことなく、プレゼンテーションの準備はすべて自力でした。人気者になるには、そのくらいの努力は当然なのである。
 
さて、すぐに発表当日がやって来た。
私はドキドキしながらクラスメイトのプレゼンを聞く。「トムソーヤの冒険」や「窓際のトットちゃん」、「星の王子さま」などなど、いわゆる名作が次々に紹介されていった。先生もにこにこと微笑んで見ている。中には「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」についてプレゼンをする人までいた。プレゼンを聞いている間に、それぞれのプレゼンへのコメントを書くことになっていたため、「悪くないよ」とか「絵がなかなか上手い」とか、内容のなさすぎるコメントでシートを埋めた。
私は自分の発表に自信があった。自信しかなかった。
 
ついに順番が回ってくる。私は自信に満ちた表情で、自分の自作小説についてプレゼンを行った。作品タイトルは、「アンパンマン」ならぬ「乾パンマン」である。本当はパンツを半分だけ履いている「半パンマン」を先に思いついていたのだが、怒られそうなのでやめた。その辺の区別はつく子だった。

 

乾パンの顔をしたヒーローが敵と戦うストーリー。ちなみに敵の名前は、細菌マンであった。乾パンマンは湿気に弱いので、ハムおじさんに新しい顔を作ってもらっている。
 
猛烈なる既視感。もはや既視感しかない。
 
自作小説を紹介し始めたときから、先生の顔色が悪くなっていくのが見て取れた。
しかしポジティブスである私は、先生が私のプレゼンのクオリティの高さに恐れ慄いているのだと解釈する。クラスメイトたちは、こそこそと何かを話し合ったり、小さく声をあげたりしていた。「ザワザワ」という表現がぴったりである。
私は熱弁をふるった。乾パンマンはなぜ悪と戦っているのか?ハムおじさんは生ハムなのか、それともボンレスハムなのか?などなど、ひたすら力説する。しかしザワザワは一向に収まらず、異様な空気の中、私はプレゼンを終えた。
 
先生からは何も言ってもらえない。まあそれはいいのだ。問題だったのは、クラスメイトからのコメントである。
「Anneさんの顔が面白かった」や「Anneの表情、すごいやかましい」みたいなコメントばっかりなのだ。
 
顔が強すぎて、内容全然みんなの頭に入ってなかった。
私の顔のインパクトの強さに、パクリのアニメストーリーなど埋もれていたのである。顔がやかましいって初めて言われたわ。
 
結局私は人気者になれたのか?
否。なれたわけがない。
ただ、変人として名を馳せたことは事実である。それはそれで良いかもしれない、と私は乾パンを食べながら思った。
 
 

アラビアンロックのプリンセス

「アラビアンロック」という面白いレストランがあることをつい先日知った。友人曰く、アラジンをコンセプトにしたレストランで、異国情緒溢れる雰囲気が魅力とのこと。そしてそのレストランは数年前にものすごく流行ったとのこと。

 

私は流行にかなり疎い。もはや流行側が私を避けているんじゃないか?と勘違いしてしまうほど、疎い。それでもアラジンの世界を体験できるレストラン、というのは確かに面白そうである。私はすぐにアラビアンロックの予約を取った。

 

その日の夜、アラビアンロックを訪れるために新宿へ向かう。

「どんな感じだろう?楽しみだねー!!!わくわくぅ〜!!!」なんて心の中で言いながら、レストランを目指した。ただ、実際に声に出しているわけではない。だって一人なんだもの。つまり、一見したら無言でニヤついているただのブスである。

断っておくが、友人もちゃんと誘ったのだ。しかし「ペットの世話があるから」というなんとも言えない理由で無情にも断られてしまった。しかも犬なのか、猫なのか、はたまた何か違う動物なのか。ペットが何であるかすら教えてくれることもなかった。謎のペットに私は負けた。なんならウーパールーパーかもしれない。

一人で無事にアラビアンロックに到着。店内に入るには、店の外のランプをこすり、「開けゴマ!」と叫ぶように、との注意書きを見つけた。 

 

一人で初めて訪れた場所で叫ぶなんて、罰ゲームみたい。だが、もちろん私は躊躇なく叫んだ。「そういうの大丈夫系ブス」である。精神が図太い。

 

「開けゴマァーーーーーーー!!!!」

 

扉が開いた。中の待合室のようなところで、ラクダに乗る男のアニメ映像を見せられた。特にストーリーも無かったが、ラクダを見て「アラビア感」は感じた。

暫くすると店員さんが来て、マジックを見せてくれる。「わー!」とか「すごーい!」とか言って、可能な限りテンション高く振舞ってみたが、一人である虚しさはアップした。店員さんの笑顔が引きつっている。苦しみに耐え、私もレベルアップした。

 

部屋に着き、早速注文。一応個室なので、周りをあまり気にしなくて良いのが嬉しい。

そして料理も美味しい。正直全くもって期待していなかったが、なかなか良い。

友人と楽しく「アラビア気分」を楽しむはずが、まさかの「砂漠でひとりぼっち体験」のようになっていることはさておき、料理の美味しさに笑みがこぼれた。

 

突然、バースデーソングが流れた。誰かの誕生日を祝っているのだろう。

すぐにプレゼントと小さな花束を持った友人たちが登場した……私の個室に。

 

言っておくが、私の誕生日から半月以上過ぎていた。完全なる、れっきとした(?)部屋間違いである。相手が酔っていたせいだろう。

 

驚く相手。驚く私。

謝罪しながらも笑いが堪え切れない相手。

危うく涙ちょちょぎれそうな私。

 

彼女たちはすぐに帰るべき場所(隣の個室)に帰っていった。

涙のせいか料理が少しだけしょっぱく感じられる。

彼女たちが残していった、パーティグッズを手に取った。クラッカーだ。驚きのあまり、さっき一人が落としていったのである。

 

私は紐を引き、パン!とクラッカーを弾けさせた。砂漠の真ん中でのろしを上げている自分を想像してみる。その音を聞いて、誰か助けに来てくれることを願った。しかし、私の元に来たのはレシートを置きに来た店員だけであった。アラビアの夜は更けていく。

 

もしも絵が上手く描けたなら

みなさんは絵を描くことが得意だろうか?
私は、苦手だ。
逆に自信を持って言える位、本当に苦手だ。

私には数々の苦手分野があるが、美術に関しては他を圧倒する酷さなのだ。最近でこそあまり人前で描くことがないが、もちろん小学生や中学生の頃はそれらを避けては通れなかった。

ある日、自画像を描く課題が出たことがある。生徒たちは各自鏡を持参して、鉛筆で自分を描く。自画像というのは意外にも難しく、私は苦戦した。周りの同級生たちが時間内に絵を完成させる中、終了時間5分前にまだ私のスケッチブックは真っ白だった。
私の頭の中も真っ白だった。
さすがにこのまま提出するのはまずいと思い、スケッチブックの端に小さくハローキティーの絵を描いて提出した。可愛いキティーちゃんの絵が、何かを解決してくれるんじゃないかと考えた。苦し紛れに思いついた策だ。

結果、ものすごく怒られた。
まあ怒られるのも無理はない、と何故だか冷静に思う。
美術の先生から呼び出しを受けたのはその日の放課後のこと。
職員室を訪れた私に、美術の先生は言った。

「Anneさん、なんでカバの絵なんて描いたの?!自画像を描きなさい!!自画像を!」

普通に解せなかった。私が描いたのはカバではないはずだ。むしろカバを描くのって難しくない?

うつむく私に、先生は続ける。

「あなたはカバじゃないでしょ?ちゃんと自分を描かないとダメ。Anneさんの他にカバなんて描く人いませんでしたよ?」

私は弱々しい声で反論した。

「カバじゃ…ないです。キティーちゃん…」

それを聞いた先生は、
「ミラクル!!!!」
と叫んだ。
そして私の目をじっと見てから、もう一度大声で「ミラクル!!!!」と言った。

勝手にカバと勘違いした挙句に、人の絵を見てミラクルと叫ぶなんて、割と失礼な話である。
そして先生は涙を流した。未だにこれが何の涙だったのかは分からない。感動なのか、絶望なのか。

私は理由の分からない罪悪感でいっぱいになる。ひとまず先生に謝罪し、その場で自画像を描き直した。2時間以上はかけて、自分の顔を描いたのだ。今度こそ、ばっちり。決して上手いとは言えなかったが、私にしてはまあ上出来である。

出来上がった私の作品を見て、先生は怒った。

「さっき怒ったばかりなのに、またカバを描くなんて!」と絶叫していた。

私は言葉を失う。今度こそしっかりと自画像を描いたはずなのに、またカバ扱いされてしまった。全力で否定したが、カバ感が抜けきれていないという謎の理由を与えられる。結局その翌日も、そのまた翌日も放課後に自画像の描き直しをさせられた。

その日の先生の絶叫を聞いたクラスメイトにより、私に「カバ子」というあだ名をつけられたのは言うまでもないだろう。
芸術的センスのなさがこんなにも人を怒らせ、泣かせ、叫ばせることがあると学んだ経験であった。絵の下手さは、下手な映画よりも人の心を揺さぶる。

こういう話もいいじゃない

ブログを始めてまだ2週間弱ですが、記事にスターをつけてくださったり、読者登録をしてくださったりする方がいます。


今日はそんな方々への感謝の記事。

今回、面白味とか全くないし、テイストもいつもと違いますがご勘弁ください!(面白味はいつもないだろ、という声は聞こえないことにして…)

私の記事を読んでくださったことのある方はお分りだと思いますが、記事に内容が全くありません。ぺらっぺらの薄さです。笑
いろいろなブログを拝見していると、日々の生活に役立ちそうな記事を書いていらっしゃるブロガーさんがとっても多い!アクセス数を増やす秘訣とか。英語学習法とか。
それに比べて私のブログは、ただの大学生の日記みたいなものというか備忘録というか、要するに読者さんの役に立つ情報が皆無です。

それにもかかわらず!
読んでくださっている方、ありがとうございます。こんなブログを読んでくださっているわけだから、相当心の広い人間だと、是非自分で自分を褒めてあげてください。笑

「どうせ誰も読んでくれないだろうなー」とか「面白い記事書けなくて嫌だなー」とか思うこともありますが、それでも読者登録をしてくださっている方がいると思うと、とーっても救われてます。本当にありがとうございます。

これからも出来るだけ毎日更新を目標に続けていきますので、どうぞよろしくお願いします!
ちゃんと記事のクオリティも上げていけたらいいな、と思っております!

最後に。
このままだとリアルに内容の少ない更新になってしまうので、カメラロールで見つけたよくわからない写真でも貼っておきます。
「総合的に果物のゼリー」だそうです。
日本語も、顔も、全てが不自然なのがお気に入り。そもそもなんの動物だか分からないし。

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それでは、また!

バレンタインのいいまつがい

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バレンタインが近いということで、デパートのバレンタイン特設会場へ行ってきた。
10種類以上のチョコレートブランド。それに群がる人。人口密度が異常だ。サーモグラフィーを使ったらその一角だけが真っ赤に表示されそうな位に混雑している。

チョコレートを物色しているのは主に女性。中学生と思われる女の子もいる。若いというだけで応援したくなるあたり、私ももうおばさんだということかもしれない。実際はともかく、精神的にはかなりの高齢である。よぼよぼ。
だけど中学生女子には負けられない、とばかりに私もチョコレートを見て歩く。重い体を揺さぶりながら、歩く。

多分広大なチョコレート売り場を5週以上はしただろう。その結果、やはりGODIVAのチョコレートを買うことに決める。(GODIVAへの信頼感は我ながら異常だ。)

購入を決めてから何もせずに5分が経過した。そして気づけば10分。
言い忘れていたようだが、私はブスなだけでなく、超がつく「コミュ症」である。周囲の人々が次々に店員さんに注文をするなか、なかなか声をかけるタイミングを掴めないでいた。その状況を打破しようとした挙句、チョコレート売り場をもう2週することになった。The無意味である。

このまま回り続けると、「永遠に売り場を回遊するブス」という称号でも与えられかねないので、私は意を決して店員さんに声をかけた。

「あの、すいません...!」

第一声は私の口を出て、そのまま周囲の雑踏に飲み込まれる。
オーケー、オーケー。
ここまでは想定内、とどこぞの政治家のように自分を慰めてみる。

ーーーッッ(息を吸い込む音)すいませーーーん!!!!

今度は自分でも驚くくらいに大きな声が出た。店員さんも気付いてくれる。ついでに私の周囲にいた4.5人も振り返ってくれたのは予定外だったが。

無事にチョコレートの購入を済ませ、うりばを出ようとした。とても混雑していて、なかなか前に進めない。

そんな時だった。80代くらい思われるお婆さんが突然私の服の袖を掴んだ。
もし私が男子で、お婆さんが女子だったらここから恋でも芽生えるのかもしれないが、今回の場合はただただ謎である。

エリザベス・テイラーってどこですかねぇ??

お婆さんの発した言葉が更に謎を深める。謎が謎を呼ぶ。私は20数年生きているが、エリザベス・テイラーを知らなかった。
とりあえずその響きから、グラマラスな外国人歌手(Elizabeth Taylor?)の姿を想像してみる。
しかしお婆さんがデパートでアメリカンシンガーを探しているとは到底思えない。
しかも私の脳内でエリザベス・テイラーがポップな歌をノリノリで歌っている状態であり、あまり頭が働かない。

「猫がねー、手術したのよ。でね、エリザベス・テイラー買いたいんだけど見当たらなくてねぇ」


猫アレルギーの愛猫家ことAnneはすぐにピンときた。

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エリザベスカラーのことだったのである。


犬や猫が怪我や手術をした際に、その傷口を舐めないようにするときに使う、エラザベスカラー


お婆さんにエリザベステイラーではなく、エリザベスカラーだと伝えた。お婆さんは特に驚く様子もなく、「ああ、エリザベスカラーね、はいはい。」と言った。そして私じゃ話にならんとばかりに、近くにいた店員を呼び止めて、どこに行けばいいかを尋ねている。


エリザベステイラーってどこですかね?」


私は、せっかくの苦労がわずか数秒のうちに水の泡になっていく光景を目の当たりにした。

店員さんは困惑している。私はその店員に近づき、エリザベスカラーのことだと説明してからその場を離れた。


そして、なぜあのお婆さんはエリザベスカラーをデパートの食品フロアで探していたのかと考えながら店を出たのである。